中国茶講座



  紅茶も中国茶の一種です。奥の深い中国茶の世界のほんの一部をご紹介します。

 すべての茶のルーツは中国

ツバキ科チャの木の葉を加工して飲むのは中国が始まりです。 雲南省あたりで紀元前2〜3000年頃に発見されたのが最初といわれています。 他の植物同様、初めは薬として飲用されていたと考えられます。そして時代が下がり、 人々の趣味として「喫茶」の習慣が生まれました。 8世紀頃、陸羽(りくう)が書いた「茶経」という本は、茶道の聖書とも言われるものです。

さて、茶は日本に伝わり、千利休の時代には茶道としての文化ができます。 その後庶民も日常的に茶を飲むようになり、現在に至ります。 日本では主に蒸して作る緑茶が飲まれていますね。

ヨーロッパはというと、日本の茶道の儀式的なところに魅力を感じたようで、 オリエンタルな文化として17世紀頃オランダから伝わり、イギリスを中心に広がっていきます。
ヨーロッパに最初に伝わったのは緑茶だったようですが、 こちらはやがて紅茶に変わっていきます。

 赤・青・白・黒・黄・緑 ??

中国茶は製法によって大体6つに分類されます。
茶の葉を摘んでそのまま置いておくと酸化発酵が始まり、茶色く変質していきます。 これに熱を加えて乾燥させると発酵が止まりますが、発酵の度合い、 つまりどの辺で発酵を止めるかで、出来上がりの色も味も変わってきます。
色の名前は淹れたときの水色に近いです。「赤」は紅茶ですね。

「白茶」
白い産毛の生えた芯芽を発酵させずに自然乾燥させて作ります。 この芯芽を白毫(パイホウ)といい、英語のPekoe(ピコー)になりました。 紅茶のオレンジ・ペコの「ペコ」のことです。 有名なものに「銀針白毫(ぎんしんはくもう)」があります。

「緑茶」
葉を発酵させずに加熱して作ります。日本茶は緑茶です。
発酵させてないので不発酵茶と呼ばれ、葉の色は緑のままです。 日本茶は蒸して発酵を止めるものがほとんどですが、中国の緑茶は釜炒りにします。 「龍井(ろんじん)茶」などが有名です。

「黄茶」
弱発酵茶(軽発酵茶)とよばれるもので、軽く発酵させますが緑茶に近いものです。 やわらかい若葉だけを使うので、高級品です。 「君山銀針」などが有名です。

「青茶」
有名なのが烏龍(うーろん)茶です。発酵を途中で止めるので「半発酵茶」といいます。
茶葉は発酵が進むほど黒く変わっていきますから、 半発酵茶の葉は発酵度合いによって青っぽいものから茶色、 黒っぽいものまでさまざまです。

日本では「中国茶イコール烏龍茶」で烏龍茶が日常的に飲まれていると思われていますが、 歴史はわりと新しく少数派で、実は中国で一般的に飲まれているのは緑茶なのです。
ちなみに「烏龍」は茶樹の品種です。

「紅茶」
紅茶は完全発酵です。発酵が強いので葉の色は黒です。
紅茶の産地ははインドやスリランカが有名ですが、起源は中国。 とはいえ本家中国ではあまり人気がなく、数ある茶の中の一種くらいにしか思われていないようです。 それでもちゃんとおいしい紅茶は作られていて、 キームン(キーモン、キーマン)は世界三大紅茶として高く評価されていますし、 スモーキーな香りのラプサンスーチョンはヨーロッパで人気があります。
手間と時間をかけて作るものを「工夫(こんふー)紅茶」といいます。

「黒茶」
一度お茶の形にしてから発酵させる「後発酵茶」と呼ばれるものです。 他の茶が、葉の持つ酸化酵素が空気に触れて起こる自家発酵なのに対し、 黒茶は微生物(要するにカビ)による発酵です。 有名なのはプーアール茶で、お茶の形に仕上げたあと、何年か寝かせます。 すると、麹菌の作用でカビ臭い独特の風味のお茶になるのです。

「花茶」
6大分類には入りませんが、ポピュラーなお茶なので載せておきます。 発酵度合いとは関係なく、茶に花の香りをつけたものが花茶で、 ジャスミンティーが代表的です。いわゆるフレーバーティーですね。 香りをつける元の葉は緑茶などが使われます。 ところで、花びらの入っていないジャスミンティーもありますが、 これは製造法の違いで、香りを染み込ませた後の花を取ってしまう贅沢な方法です。 安物のジャスミンティーは、この取り除いた花を使って香り付けするものもあります。

花だけをお茶のように入れて飲むものもあります。こちらはハーブティーに近い感覚ですね。

 中国茶の飲み方

飲み方は、難しく考える必要はありません。日本茶と同じように急須に葉を入れて、お湯を注げばいいのです。 日本茶同様2〜3煎飲めます。(紅茶だけは一度の抽出で飲みますが。)

違うところはお湯の温度と蒸らし時間です。日本茶は80度以下で淹れますが、中国茶は熱湯です。 これは熱湯の方が香りが強く出るからで、 香りを逃がさないため、急須のふたも小さめになっています。 蒸らし時間は1〜3分、葉をしっかり開かせるためです。

工夫(こんふー)茶という、小さな器でお手前のように淹れる方法は、 主に青茶(ウーロン茶など)で使います。


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