マメなのか?
豆と呼んでいますがコーヒー豆はマメではありません。木の実です。
コーヒーの木というのは「アカネ科コフィア属」の常緑樹で、熱帯の植物です。
赤道を中心に南・北回帰線の間をコーヒーベルトといい、ここに含まれる国々で栽培されています。
コーヒー生産国は60カ国以上あるでしょう。
品種もいろいろあり、飲んでおいしいのはアラビカ種で、
普通飲んでいるレギュラーコーヒーはほとんどがこれです。
この下にさらに何種類かに分かれます。
ロブスタ種は味はよくないけれど、安価で病気に強く、
薄めても苦味が強く出るというコストパフォーマンスの高さから、
缶コーヒーやインスタントコーヒーなどの原料になります。
レギュラーコーヒーに入っていることもあります。
他にリベリカ種というのもあります。日本では飲む機会がないのですが、あまりおいしくないとか・・・。
手間がかかる
成長したコーヒーの木には白いかわいい花が咲き、それから真っ赤な実がなります。
さくらんぼみたいなので、コーヒーチェリーといいます。
この実の中に入っている種が「コーヒー豆」です。
といってもこれは茶色いコーヒー色ではなく、白くて無味無臭です。
これを生豆(なままめ・グリーン)といい、この豆を煎って初めて飲めるようになるのです。
豆を煎ることを焙煎(ばいせん)といいます。
焙煎の前に、実から種を取り出さなければなりませんね。
熟した実は自然に落ちますが、手早く収穫するために枝を叩いて落としたりもします。
実からコーヒー豆を取り出すには、精製という作業が必要です。脱穀のようなものです。
コーヒーの実は固い外皮で覆われ、中には果肉があり、さらに中のコーヒー豆はパーチメントという内皮に包まれています。
けっこう重装備なのです。
精製が終わると、やっと生豆が出てきます。(でもまだ飲めません)
生豆は等級分けをして麻袋(または樽)に詰められ、各国へ輸出されます。ここまでが生産国の仕事です。
ちなみに芽が出るのはパーチメント(内皮)のついた豆だけです。
パーチメントは取り除いて出荷されますから、生豆を買って庭に蒔いてもだめですよ。
生豆の図
コゲている
生豆はロースターと呼ばれる焙煎屋さんが仕入れます(焙煎する機械もロースターといいますね)。
大手「**コーヒー」も、小さい個人店も、
扱う量や流通経路は違いますが、豆を焙煎する作業は同じです。
生豆は青みがかった白色で、固くて噛み砕くこともできません。
これに火を通すと、熱で成分が変化して独特の味・香りが出て、おなじみの茶色いコーヒー豆になります。
焙煎すると豆が柔らかくなるので、指でつぶすことができます。
焙煎度合いは浅煎りから深煎りまで8段階位あり、
焼けば焼くほど苦味が強くなり、色も白から茶色へ、さらに黒へと変わっていきます。
つまり、あの色と苦味の正体はコゲなのです。
焙煎された豆は店頭に並び、消費者の手に渡ります。
これでやっと飲めるようになる・・・かな?
やっと飲める
焙煎しても、豆のままでは飲めません。
味や香りを出すためには、コーヒーミルを使って細かい粉にする必要があります(グラインドといいます)。
粗挽きとか細挽きとかいうのは、粉の粒の大きさを表します。
普通は使う器具に合わせて調節します。
豆を挽いて粉にしたら、いよいよ「コーヒー液」の抽出です。
手軽なペーパードリップやコーヒーメーカー、エスプレッソなど、器具の種類はさまざまですが、
要は粉にお湯を通すことですから難しく考えることはありません。
もちろん、おいしく淹れる「コツ」というのはありますが。
できたコーヒー液をカップに注いでできあがりです。
さて、当然のことですが、コーヒーの粉はお湯には溶けません。必ずカスが残ります。
なぜわざわざこんなことを書くかというと、
「インスタントコーヒーはお湯に溶けるのに、
なぜレギュラーコーヒーはとけないのか?」
という疑問を持つ人がまだまだ沢山いるからです。
インスタントコーヒーがなぜ溶けるかというと、あれは粉ではなく、
「コーヒー液」をフリーズドライ等で加工したものだからです。
モカだかブレンドだか・・・
コーヒーの名前にコロンビア、ブラジル、モカなどというのがありますが、
これは何を表しているのかというと、たいていは生産国の名前、
または取引名(通称)です。
例えば、広義で「コーヒー」の意味にも使われる「モカ」は
イエメン産とエチオピア産の豆の総称で、もともとは出荷港の名前です。
「マンデリン」はインドネシアのスマトラ島産の豆、「コロンビア」「ブラジル」は国名です。
「ブルーマウンテン」はジャマイカのブルーマウンテンという山の
高地で採れるもののみの名称で、同じ山でも中腹で採れたものは
ブルーマウンテンとは呼びません。
これらはいわゆる「ストレートコーヒー」で、生産国や農園、品種、等級によって細かく分かれます。
産地が違えば味も違い、それぞれ個性を持っています。
これに対し、「ブレンド」というのは、何種類かのストレートコーヒーを混ぜて意図的に味を作り出したもので、
「ブレンド」という名前の豆が初めからあるわけではありません。
つまり、「モカ」といえばストレートコーヒーで、
「モカブレンド」はモカ以外の豆をいくつか混ぜているブレンド、という意味になります。
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