味見



 コーヒーはオトナの飲み物?

生まれてはじめてコーヒーを飲んだとき、どんな味がしましたか?
ミルクや砂糖が入っていても、「苦い」という印象が強かったのではないでしょうか。

「苦味」は人間にとって(他の動物も?)もともとあまりよい味ではありません。
本能的には「危険な味」なのかもしれません。

小さい子供は薄くしてもストレートコーヒーが飲めません。ビターチョコあたりでもだめかも知れません。 それが、大人になると飲めるようになるというのは不思議です。
苦味をおいしいと感じられるようになるには、味の経験を積む必要があるのです。

コーヒーが「大人の味」なんて言われるのは理にかなったことです。 ビールの苦味も、お茶の渋味も、いろんな味を経験した上ではじめて「おいしく」味わえるのです。

コーヒーにはいろいろな味の要素があります。さらに香りもおいしさを引き立てます。 コーヒーを飲んだときの味を感覚的に表現してみました。


  苦味
コーヒーといえば苦味。
苦味といっても、かなり強いものからほとんどわからないものまでありますが、 この苦味のもとはコーヒーの主成分であるカフェイン・・・ではありません。
焙煎によるところが大きいのです。つまりコゲですね。
カフェインももちろん苦味を持ってはいますが、味に強く影響を与えるほどではありません。
カフェインレスのコーヒーだってちゃんと苦いのですから。

焙煎でどう苦味が変わるのでしょうか?
深く煎るほどコゲも増しますから、豆の色が黒ければ黒いほど苦味も強いということです。
ちなみにこの時カフェインはどうなるかというと、あまり変化しません。 むしろ熱分解でちょっと減少するようです。

「苦いコーヒー」=「カフェインが多い」ということにはなりません。

  酸味
コーヒーの酸味には2種類あります。 ひとつはコーヒーに含まれる有機酸が焙煎によって変化し、酸味となって感じられるもの。
もうひとつは古くなって酸化したもので、こちらはよい味ではありません。
「すえたような」と表現されます。

しかしこの2つの酸味がごっちゃになってしまい、「酸味はきらい」と言う人がかなり多いのです。
よい酸味はさっぱりとしていて、コーヒーの味に広がりを持たせるものです。
焙煎が進むにつれて減少していきますから、深煎りの豆に酸味はありません。

  甘味
コーヒーには糖分も含まれているので、甘味が感じられます。
焙煎が進むと砂糖もコゲて、いわゆるカラメルのような状態になるので、 浅煎りと深煎りの豆では甘味の感じが少し違います。

焙煎によって苦味や酸味の強さを変えることはできますが、甘味を強くすることはできません。 豆がもともと持っている分しか甘くならないのです。
自然の甘味が物足りない時は、砂糖を入れましょう。

  渋味  
舌にキュッとくる感じでしょうか。これはあまり良い味ではありません。

渋味のもとタンニンはお茶にも含まれるカテキン類です。
お茶が渋いのはタンニンのせいですが、甘味もまた同じタンニンによるものです。 渋味と甘味は紙一重といったところです。
しかしコーヒーの渋味は味を損ねるだけです。焙煎または淹れ方の失敗を意味します。

  雑味  
コーヒーの味なんだけど、何かスッキリしない味、のどにひっかるような味・・・。
悪い味の原因は、「豆の質が悪い」「焙煎が悪い」「抽出が悪い」のどれかです。

  コク  
英語で「body」ですから、実の入ったとか、厚みのあるとか、しっかりした味という感じです。
ところが「苦い」「味が強い」と解釈している人が多いのです。
さらには雑味が口に残るのを「コクがある」と言ってみたり・・・。

  なめらかさ  
これは味ではないのですが、飲んだときの舌触りや喉越しのよさをいいます。
とろっとした感じ、ですね。 質のいい豆を上手に淹れられた時のご褒美です。

  後味のよさ
これも味とは言えませんが。
おいしい味というのはすぐに消えてしまうものだと思うのです。
余韻を楽しむことはできますが・・・。
いつまでも口の中や舌、喉に残っているのは余韻ではなく雑味でしょう。


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